モダン・ジャズ入門中

三十路も半ばを過ぎてモダン・ジャズにハマりました。

モダン・ジャズにハマって3ヶ月の者が選んだ9枚のアルバム

今年の夏にモダン・ジャズに唐突にハマって、早3ヶ月。そのファン歴3ヶ月のズブの素人が、現時点までで聴いてきた中で特に「これはイイ!」と思ったアルバムは何であるのか――を、ここでご紹介したい。

全9枚。順位は付けられないので録音の古い順に並べてみると、次の通り。

 

・Herbie Harper『Herbie Harper』(1955年)

A級かB級かで言えばB級だと思うんですが、気軽に聴けるし、聴いてみると楽しめる。ちょっと特殊な編成で、ほのぼのとさせられるし、他のアルバムとは違う個性がある。ジャケットも良いしね。A3・B3が特に好き。

 

Tommy Flanagan『Overseas』(1957年)

Tommy Flanaganのピアノももちろん良いのだけれど、Elvin Jonesのドラムがピアノを”食う”勢いで叩きまくっているのが大きな個性となっている。B面の最後の3曲は圧巻。

ピアノ・トリオだとRoy Hayes『We Three』も3者がっぷり組み合った趣があっていいですね。ほか『Ray Bryant Trio』『My Fair Lady』と、好きなものを並べてみるとピアノ・トリオと言っても色々あるんだなあと思う。

 

Sonny Rollins『Newk’s Time』(1957年)

Rollinsと言えばもちろん『Saxophone Colossus』なんですが、Max RoachよりもPhilly Joe Jonesが好みだ、ということでこちらを。サックスのボディがビンビン鳴っている感じがする。「Asiatic Raes」にはガツーン!と来ました。アルバムの終わり方もチャン、チャン♪という感じで良い。

ワン・ホーンものとしては、Johnny Griffin『Introducing Johnny Griffin』、Lee Morgan『Candy』、Oscar Peterson Trio, Clark Terry『Oscar Peterson Trio + One』も気に入った。

 

・Art Blakey & the Jazz Messengers『Moanin'』(1958年)

奇跡の1枚。とにかく捨て曲なし、全曲一緒に口ずさめる、というのが得がたい魅力。9枚に順位は付けていませんが、もし付けるなら1位はこれかなあ。

 

Horace Silver『Blowin' the Blues Away』(1959年)

Horase Silverは贔屓のジャズマンで、『Doin’ the Thing』や『The Cape Verdean Blues』も良いアルバムだし前作の『Finger Poppin’』にもイイ曲が入っているんですが、アルバムのトータリティーで言えばやっぱりこれかなあ。いつでも安心して聴けます。

 

Thelonious Monk『Thelonious Alone in San Francisco』(1959年)

Monkに限らず、ソロ・ピアノの作品は今のところこれしか聴いたことがない。今まで聴いた彼のアルバムは本作と『Thelonious Monk Trio』と『5 by Monk by 5』の3作。どれも良いけれど彼のピアノが一番じっくり味わえるのはこれかなあ、ということで選出。録音も非常に良いしね。

 

・Tina Brooks『True Blue』(1960年)

何と言ってもA1「Good Old Soul」のテーマ、この哀愁! モダン・ジャズを今まで聴いてきた中で、屈指の名曲として挙げたい。A3「Theme for Doris」、B2「Miss Hazel」と併せて、オリエンタルな味わいを感じる。唯一無二でかけがえのない1枚。

 

渡辺貞夫渡辺貞夫』(1961年)

素晴らしく充実した1枚。録音もいいし。A2・B2のようなバラードを聴いていると、本当に素晴らしいアルトだなあと感じる。A1・B1のような2管のテーマも非常に気持ちよい。渡辺貞夫秋吉敏子、八城一夫の作を含んでいるのも嬉しい。

 

Gerry Mulligan『Night Lights』(1962年)

これはいい。何がいいって、テーマのアレンジに色々な工夫が見られるんですね。最初のテーマはソロ演奏だったのが、最後ではハーモニーが付いているとか。全体的に「しっとり系」の統一したムードを持ちながら、意外と曲調にバリエーションがあるのも名盤のゆえん。

 

 

……と、愛聴盤を9枚挙げてみました。編成で言うとツー・ホーンを中心とする多管編成が一番好みなので、そのスタイルのアルバムが多くなった。

なお、「10枚」にしなかったのは、Miles Davis『Kind of Blue』(1959年)に敬意を表して「欠番」としたつもり。あと、『Kind of Blue』は気軽に聴けないというか、聴くからにはしっかり向き合わないとという感じがするので(『A Love Supreme』も同様)、ちょっとここでの並びに合わないなという思いもあって外したという面もある。

 

 * * * * * * *

 

ところで、そもそもこれまでにどういうアルバムを聴いた上でこの9枚(10枚)を選んだのだよ――という点に関心を持たれる方もあるかも知れないので、ご参考までにこれまでに聴いた(記憶のある)アルバムの一覧を下記に掲げます。なおこの3ヶ月で聴いたのは12.『My Fair Lady』以降で、それより前のものはジャズにハマる前に聴いていたもの。

 

1. Miles Davis『Cookin'』
2. Wes Montgomery『A Day in the Life』
3. Art Blakey & the Jazz Messengers『Moanin'』
4. Charles Mingus『Pithecanthropus Erectus』
5. Curtis Fuller『Blues-Ette』
6. Miles Davis『Kind of Blue』
7. Sonny Rollins『Saxophone Colossus』
8. Bill Evans Trio『Waltz for Debby』
9. Django Reinhardt『Djangology』
10. Bill Evans, Jim Hall『Undercurrent』
11. Eddy Louiss Trio『Eddy Louiss Trio』

12. Shelly Mann & His Friends『My Fair Lady』
13. Tommy Flanagan『Overseas』
14. John Coltrane『Blue Train』
15. Sonny Clark『Cool Struttin'』
16. Duke Ellington, Charles Mingus, Max Roach『Money Jungle』
17. Lee Morgan『The Sidewinder』
18. Oscar Peterson Trio, Clark Terry『Plus One』
19. Grant Green『Idle Moments』
20. Red Mitchell『Presenting Red Mitchell』
21. Thelonious MonkThelonious Monk Trio』
22. Jutta Hipp『With Zoot Sims
23. Jutta Hipp『At the Hickory House Vol. 1』
24. Marian McPartland『At the Hickory House』
25. Terry Pollard『Terry Pollard』
26. Sonny RollinsSonny Rollins Vol.2』
27. Jutta Hipp『At the Hickory House Vol. 2』
28. Lorraine Geller『At the Piano』
29. Lee Morgan『Candy』
30. Clifford Brown, Max RoachClifford Brown and Max Roach
31. Art Blakey & The Jazz Messengers『The Big Beat』
32. Horace Silver『Blowin' the Blues Away』
33. Herbie Harper『Herbie Harper』
34. Mary Osborne『A Girl & Her Guitar』
35. Dorothy Donegan『September Song』
36. Tina Brooks『True Blue』
37. Sonny Rollins『Newk's Time』
38. Sonny Rollins『Night at the Village Vanguard
39. Sonny Rollins『The Bridge』
40. John Coltrane『A Love Supreme』
41. Horace Silver『Finger Poppin'』
42. Philly Joe Jones『Drums around the World』
43. Gerry Mulligan『Night Lights』
44. Horace Silver『Song for My Father』
45. Big Four『Original Big Four』
46. 渡辺貞夫渡辺貞夫(1961)』
47. Horace Silver『The Cape Verdeen Blues』
48. Miles DavisRelaxin'』
49. Curtis Counce『Landslide』
50. Cannonball Adderley『Somethin' Else』
51. Horace Silver『Doin' the Thing』
52. Horace SilverHorace Silver & the Jazz Messengers
53. Johnny Griffin『Introducing Johnny Griffin
54. Oscar Peterson『Plays Cole Porter Song Book』
55. Ray Bryant Trio『Ray Bryant Trio』
56. Red GarlandRed Garland's Piano』
57. Roy Haynes『We Three』
58. Junior Mance『Junior』
59. Hampton Hawes『Everybody Likes Hampton Hawes
60. Bill Evans『Portrait in Jazz』
61. Thelonious Monk『5 by Monk by 5』
62. Thelonious Monk『Thelonious Alone in San Francisco』

 

※記事中の画像はYouTube Music、Discogs、Amazonからの転載です。